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  • 2014-11-14 13:54:42

アイドルの限界超えたイム・シワン、いかにしてチャン・グレになったか

ZE:A(ゼア)はグループ自体よりはメンバー個々人の活躍が目立つアイドルグループ。固まっているときより散らばったときに頭角を現したため、個別活動を本格化したメンバーに対するアイドルのイメージはある程度相殺できた。
イム・シワンが「アイドル出身」というイメージにあまり縛られていないのも、イム・シワンへの注目がアイドル活動ではなく、俳優活動から始まったためである。イム・シワンは『太陽を抱く月』に出演して注目された後、『赤道の男』の子役、2部作ドラマ『恋愛を期待して』、観客1千万人を動員した映画『弁護人』などに出演し、抜きん出たルックスと演技力を認められた。
イム・シワンの強みは俳優としてのイメージにある。アイドルのキャスティングに不満を示す視聴者も、イム・シワンのキャスティングには好感を示す場合が多い。それほどイム・シワンは演技・イメージともに「信じて観る」レベルに達している。
しかし、イム・シワンには致命的な短所がある。きれいで女性的な顔つきと比較的小柄な体つきは、恋愛模様がメインの地上波ドラマで存在感を示すのに限界がある。女性よりも美しい顔と低い身長は、相手役女優との恋愛模様を演じて絵になるシーンを撮るのにネックとなっている。男性というよりは美少年のイメージが強いため、女優と息を合わせるのがやや不自然に見えるのである。
イム・シワンは最近放送終了した『トライアングル』で野心家を演じた。しかし、遅々としてなかなか進まず陳腐なストーリー展開の中で彼の魅力は生かされず、ペク・チニに片思いする役も説得力がなかった。俳優としての魅力について評価が分かれる瞬間だった。
そんな彼が選んだのがtvN『未生』である。イム・シワンは『未生』の中で完全にチャン・グレになりきった。『未生』は過酷なまでに現実的で凄絶なまでに生々しい。『未生』が地上波放送に移ってアン・ヨンイ役を演じるカン・ソラとの恋愛模様を主軸にしたなら、イム・シワンのキャスティングにはクエスチョンマークが付いたことだろう。しかし、原作を忠実に生かしたおかげで『未生』に共感する視聴者が増え、イム・シワンが自分の役割以上のことを十分にやり遂げ、ドラマに活力を吹き込んだ。
高卒インターン社員としての悔しさや困難、実力よりは人脈と処世術のほうが重要な職場生活、OLとしての悲喜こもごも、目立てばチャンスが与えられるのではなく牽制される上下関係など、恋愛模様や大事件よりは現実感覚に焦点を当てた『未生』に、視聴者は胸にジーンとくるものを感じる。
もちろん、『未生』にも空想的な面はある。呉課長(イ・ソンミン扮)のようなメンターは、職場にそういるものではない。しかし、そのような面は徹底的に現実的な問題を浮き彫りにする道具として用いられる。呉課長は能力と情熱がありながらいつも昇進を逃し、彼を応援する人々を残念がらせる。
『未生』の最大の長所は、徹底した調査と考証によって視聴者が共感できるようにしたことで、二番目の長所は演技に隙がない点。イム・シワンもアイドル出身だということを完全に忘れさせるほど自然に演じている。そうした中でイム・シワンに好感が持てるようになるのは当然のことだろう。きれいな顔立ちと小柄な体格をものともせずに視聴者をひきつける役柄を引き受け、その役柄に溶け込んだ演技をしているのは、イム・シワンの賢い選択があったからこそ可能だった。
もしイム・シワンがスター性に欲を出し、ドラマにお決まりのように出てくる財閥の御曹司役を選んで恋愛模様に焦点を当てたとすれば、このような成果は見られなかっただろう。彼は『未生』によって自分の長所が何なのかを証明した。そうした賢い選択を続ける限り、視聴者は今後も「俳優イム・シワン」の前途に大きな期待をかけるだろう。
 

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