70回目を迎えた今年のベネチア国際映画祭で最も注目される作品は、何といってもキム・ギドク監督の『メビウス』だろう。昨年『嘆きのピエタ』でベネチア国際映画祭最高賞の金獅子賞を受賞し、全国を沸かせて1年が経った今、キム・ギドク監督の「制限上映可」判定で物議を醸して映画界を騒がせた新作『メビウス』が、ベネチア国際映画祭に招待された。今回は非コンペティション部門に出品となる。
キム・ギドク監督の『メビウス』は、9月3日(現地時間)の1回目を皮切りに、合計3回にわたって上映される。韓国で映像物等級委員会から「制限上映可」判定を受けた約90分の完全版が上映される。国内で制限上映可の賛否を問う試写会が開かれはしたものの、それすら一部が編集された状態だった。ベネチア国際映画祭は、韓国ではそれ以上見られなくなった『メビウス』完全版が公式に見られる最初の場となる。
国内での審議当時、『メビウス』は近親相姦の描写が問題となり、最初の映像物等級委員会審議で事実上公開不可を意味する「制限上映可」判定を受けた。その後、1回の編集を経た審議でも二度目の「制限上映可」判定を受けた。結局、3回の編集を経たあげく、最初の審議当時のランニングタイムから2分30秒がカットされた87分50秒のバージョンで「青少年観覧不可」判定を受けた。紆余曲折の末、ベネチア国際映画祭期間中の来月5日に公開されることとなった。
同作をめぐる騒動が海外にも広く伝わっており、いったいキム・ギドク監督の型破りで辛辣な作品の世界がどのように『メビウス』で描かれているのか、海外映画人の関心もまた高い。映画を見た世界の観客が果たして映像物等級委員会の決定にうなずくか、それとも韓国で繰り広げられた映画巨匠の新作をめぐる騒動について首を横に振るか、気になるところだ。
2016-10-30 ~ 2016-11-5
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