負け組を描いた映画『私の親友悪党たち』がベールを脱いだ。これまで、韓国社会の断面として重い題材を取り上げて映画を作ってきたイム・サンス監督が、本来の愉快で軽いタッチの作品をお届けする。リュ・スンボムとコ・ジュニという、とても似合いそうにない男女の組み合わせで話の中に引き込んでいく。リュ・スンボムが演じるジヌはインターン社員。彼女はおらず、仕事は言われたことをするだけ。部屋はどうしようもなく狭いが、その中で多くの女と付き合い、大学も卒業した。しかし、今の彼は言われるままに札束カバンを配達する財閥社員の後をつける身の上。負け組の定義を当てはめてみれば、コネもなく大学卒業後はインターンとして就職したものの、数千万ウォンの借金を抱えて暮らすジヌは紛れもない負け組。
コ・ジュニが熱演したナミも一人暮らし。レッカー車の運転手で、汚い服を脱ぎ捨てて湯船に浸かっているところに呼び出しがかかり、十万ウォン稼ぐためにまた服を着て裸足で駆け出す。家は一時撤去が進められたが、どうしたわけか開発が中止された場所。異性関係は一夜を共にするだけで終わることが多かった。両親はそれぞれ辛い事情を抱え他界して久しい。それでもたくましく生きている負け組女。
ジヌが後をつけていた札束カバン配達車が目の前で事故に遭う。そして、ナミのレッカー車がその車を牽引することに。廃車場で再開したジヌとナミ、二人より先に札束カバンを手に入れた廃車場スタッフのヤコボ(サム・オチュリ)ら三人は、仲良くお金を分け合うことで意気投合する。ジヌの所属する公務員集団、さらには配達事故を收拾すべく札束カバンの行方を探す財閥会長秘書一味を敵に回した負け組たちの活劇が繰り広げられる。今年上半期に公開された『キングスマン』(原題/Kingsman:The Secret Service)が負け組の共感を呼び、韓国で大ヒットした。そのような観点からすれば、『私の親友悪党たち』は韓国の負け組が主人公の作品といえる。この上ないクールさがこの映画ににじみ出ている。また、イム・サンス監督特有の残忍ながらもユーモラスでマイナーなB級のオチも用意されている。
2016-10-30 ~ 2016-11-5
2016-10-30 ~ 2016-11-5
2016-11-7 ~ 2016-11-13